不動産会社の「正しそうな説明」を鵜呑みにしてしまう

不動産の相談をすると、多くの方がこう感じられます。

「説明は、よく分かった」
「たぶん、間違ったことは言われていない」

相場の話。
近隣事例の話。
数字やデータを交えた、理路整然とした説明。

一見すると、とても“正しそう”です。

けれど実は、この「正しそうな説明」をそのまま受け取ってしまうことが、後悔の入口になるケースは、決して少なくありません。

不動産会社の説明の多くは、事実としては間違っていません。

  • このエリアの相場
  • 今後の市場動向
  • 売却した場合の金額の目安

どれも、知っておくべき情報です。

ですが、ここで一度、立ち止まって考えてみてください。

例えば、山科区でご相談を受けた70代単身の方。

複数の不動産会社に相談され、どこでも似たような説明を受けたそうです。

「この辺りの相場はこのくらいです」
「今後は下がる可能性もあります」
「売るなら、早い方が有利ですね」

説明は丁寧。
質問にもきちんと答えてくれる。

それでも、帰り道で、ふとこう思われたそうです。

「話は分かったけど、
 私は、どうしたらええんやろ…」

情報は十分なのに、判断ができない。
この状態こそが、注意すべきサインです。

不動産の判断は、情報が多ければ正解に近づく、というものではありません。

むしろ、

  • 数字ばかりが頭に残る
  • 「損しない選択」を探し始める
  • 自分の気持ちが、後回しになる

こうして、だんだんと
「暮らしの話」から離れていってしまうのです。

ここで大切なのは、「この会社の説明は正しいかどうか」ではありません。

それよりも、その説明が、自分の状況に合うかどうかです。

本来、不動産の相談で先に出てくるべきなのは、こんな問いです。

  • 今の住まいで、何が一番しんどくなってきたか
  • 逆に、ここだけは手放したくないことは何か
  • この先、どんな暮らし方なら無理がないか

こうした話を抜きにして、いくら正しい説明を受けても、判断は“自分ごと”になりません。

少し意外に思われるかもしれませんが、本当に信頼できる不動産会社ほど、結論を急がせません。

なぜなら、不動産の判断は「正解探し」ではなく、「納得できる整理」だからです。

  • 今は売らない
  • まだ考えたい
  • 情報だけ知っておきたい

こうした選択肢も含めて、きちんと受け止めてくれるかどうか。

そこに、その会社の姿勢が表れます。

私たちのところに来られる方の中には、相談の結果、売却を見送られる方も少なくありません。

理由は、

・今すぐ売る必要がなかった
・売るより、暮らしを整える方が合っていた
・判断を急ぐ段階ではなかった

からです。

それでも、「相談してよかった」と言ってくださる方が多いのは、
考え方が整理されたからだと思っています。

私たちは、説明の“正しさ”よりも、その人の時間の流れを大切にしています。

  • 今、何に迷っているのか
  • 何を不安に感じているのか
  • どこまで決めたいのか

それを無視して出す結論は、たとえ正しく見えても、後悔につながりやすい。

不動産会社の説明を聞いたとき、ぜひ、こう自分に問いかけてみてください。

「この話は、私の“これからの暮らし”を前提にしているだろうか」

もし答えが曖昧なら、まだ判断する段階ではありません。

正しそうな説明は、安心感を与えてくれます。
でも、安心と納得は、別物です。

不動産の判断に必要なのは、「急がない勇気」と、「自分の話をしていい場所」。

私たちは、そのための相談相手でありたいと思っています。

決めるのは、今日でなくていい。
そう思えることが、後悔しない判断への第一歩です。