子どもに住んでもらう前提で実家を整える、という相続の形

― 京都の伏見区・山科区で増えている“急がない相続” ―

相続のご相談を受けていると、売却でも、減築でもない、少し立ち止まった選択をされるご家族に出会うことがあります。

それが、「今は住まないけれど、将来は子どもに住んでもらうかもしれない」という前提で、実家を整える相続です。

特に京都市伏見区・山科区では、この考え方を選ばれる方が、少しずつ増えています。

子ども世代は、

  • 仕事の都合で別の地域に住んでいる
  • まだ家族構成が定まっていない
  • いずれ京都に戻る可能性はある

こうした事情を抱えていることが多く、「すぐ住む」「すぐ売る」どちらも決めきれないケースが現実です。

そこで選ばれるのが、

“将来に選択肢を残すために、最低限整える”

という相続の形です。

このエリアで多いのは、フルリノベーションではありません。

むしろ、

  • 傷みが進まないようにする
  • 次に住む人が困らない状態にする

この2点に絞った整え方が中心です。

たとえば、

  • 雨漏り・外壁・屋根の確認
  • 水まわりの最低限の更新
  • 配管や電気の安全確認

「今の暮らしを快適にする工事」ではなく、“次の世代につなぐための準備”としての工事です。

ここで大切なのは、全部を新しくしない勇気です。

伏見区・山科区の実家には、

  • 思い出の詰まった和室
  • 昔ながらの建具
  • 家族の記憶が残る空間

が多く残っています。

それらをすべて壊してしまうと、「住まい」ではなく、「ただの箱」になってしまうこともあります。

整える相続では、

  • 残すところ
  • 手を入れるところ

を意識的に分けることで、次の世代が“自分たちの家”として受け取りやすくなります。

この相続の形は、親世代だけでなく、子ども世代にとってもメリットがあります。

  • 住むかどうかを急がなくていい
  • 京都に戻る選択肢が残る
  • 家の状態が分かっている安心感

「相続=突然の決断」にならないことで、家族関係も穏やかに保たれやすくなります。

もちろん、すぐに住まない期間がある以上、管理の問題は避けて通れません。

ただし、

  • 定期的な換気
  • 必要最低限の点検
  • 無理のない管理体制

これだけでも、家の寿命は大きく変わります。

「放置」ではなく「見守る」
その意識の違いが、数年後の選択肢を守ります。

「家族として、どうつなぐか」

私たちは、この形の相続に立ち会うたびに思います。

相続とは、

  • 資産を分けること
  • 得をすること

ではなく、家族の物語を、次へ渡す行為なのだと。

売らない。
でも、止めない。
次の世代に委ねる準備をする。

それは、とても誠実な選択です。

今すぐ答えを出さなくて構いません。
売却も、住み替えも、減築も、
どれも正解になり得ます。

ただ一つ言えるのは、「何も考えないまま時間が過ぎること」だけが、後悔につながりやすいということ。

子どもに住んでもらう前提で整える。
それもまた、前向きな相続の形です。

私たちは、その“途中の選択”にも、きちんと寄り添います。