固定資産税が安いから放置、が一番つらい理由

― お金よりも、心の負担が積み重なります ―

「固定資産税、思ったより安かったんです」

空き家のご相談で、本当によく聞く言葉です。

相続した実家。
誰も住んでいないけれど、毎年かかる固定資産税は、想像していたほど重くない。

「これくらいなら、しばらく置いておいてもいいかな」
そう思われるのは、とても自然なことだと思います。

でも実は、
固定資産税が安いからこそ、空き家は“しんどくなりやすい”
私たちは、そう感じています。

税金が高ければ、人は早めに動きます。

「どうにかしないと」
そう覚悟が決まるからです。

ところが、固定資産税がそこまで高くないと、空き家は緊急性のない問題になります。

  • 今すぐ困っていない
  • 生活に直接影響はない
  • 大きな出費でもない

結果として、「決めない」という選択が、何年も続いてしまう。

この“決めない時間”こそが、後々、心に重くのしかかってきます。

固定資産税は一定でも、目に見えない負担は、少しずつ増えていきます。

  • 伸びてくる草木
  • 外れかけた雨樋
  • 溜まっていく郵便物
  • ご近所の視線

「今度、時間があるときに行こう」
そう思いながら、気がつけば半年、一年と過ぎていく。

伏見区や山科区の住宅地では、ご近所付き合いが続いている場所も多く、“何もしていないこと”自体が、気がかりになることもあります。

空き家がつらくなる瞬間は、建物の傷みではなく、人の関係から始まることが多いです。

「そろそろどうする?」
「いや、今はまだいいんちゃう?」

最初は、穏やかな会話だったはずが、だんだんと、こんな言葉が出てきます。

「管理してんの、いつも私ばっかりやん」
「売る気ないなら、ちゃんと面倒見てよ」

固定資産税は安い。
でも、手間と気持ちの負担は、平等ではない。

このズレが、兄弟姉妹の間に、静かなしこりを残します。

実際に、「もっと早く動けばよかった」と振り返られる方は、少なくありません。

ここで一つ、大切なことをお伝えしたいと思います。

固定資産税が安いこと自体は、決して悪いことではありません。

問題なのは、「安いから考えなくていい」と、思ってしまうことです。

何も決めないまま時間が過ぎると、

  • 家は少しずつ傷み
  • 管理は面倒になり
  • 家族の関係にも影を落とす

気づいたときには、「動くのが一番しんどい状態」になっていることもあります。

ここまで読んで、「じゃあ、売らないといけないのか」そう感じた方もおられるかもしれません。

でも、私たちは、売却を急ぐことが正解だとは思っていません。

  • 売る
  • 貸す
  • 整えて様子を見る
  • 将来のために整理する

選択肢は、思っているよりもあります。

そして、それを今すぐ決める必要もありません。

私たちのもとに来られる方の多くは、最初から答えを持っておられません。

「何が正解かわからない」
「家族にどう話せばいいか迷っている」

それでいいと思っています。

空き家の相談は、売却査定をする場ではありません。

「空き家について、話すだけの相談」
それくらいの気持ちで、十分です。

話してみることで、

  • 自分の気持ちが整理できる
  • 家族との向き合い方が見えてくる
  • 次に何をすればいいかが分かる

そんな場でありたいと、私たちは考えています。

親のため。
子どものため。
それとも、自分自身の安心のため。

固定資産税が安いから、その答えを先延ばしにしていませんか。

空き家は、突然問題になるわけではありません。

だからこそ、問題になる前に、少しだけ立ち止まることが大切だと思います。


次回は、
「空き家がきっかけで、兄弟が喧嘩する理由」
について、もう一歩踏み込んでお話しします。

一人で抱えず、まずは、話すところから始めてみませんか。