大きな家=良い資産、と思い込んでいませんか?
不動産の相談を受けていると、よく聞く言葉があります。
それが、
「家は大きい方が資産価値がありますよね」
という一言です。
確かに、ひと昔前までは
「広い家=立派」
「部屋数が多い=将来も安心」
という価値観が当たり前でした。
実際、伏見区や山科区には、昭和40〜50年代に建てられた、しっかりとした大きな戸建てが今も多く残っています。
当時は、子ども部屋を用意し、親と同居する可能性も考え、「余裕のある広さ」こそが正解とされていました。
ただ、時代とともに、暮らし方は大きく変わっています。

「広い=使い切れている」とは限らない
今、子育てを終えた世代の多くが直面しているのは、家が広すぎる、という現実です。
- 2階はほとんど上がらない
- 使っていない部屋が、物置になっている
- 掃除や管理が、年々しんどくなってきた
それでも、
「広い家だから、価値があるはず」
「手放すのは、もったいない」
と感じてしまう。
この気持ちは、とても自然です。
長年家族を支えてきた家ですから、簡単に否定できるものではありません。
ただ、ここで一度考えてみてほしいのです。
その“広さ”は、今の暮らしに本当に合っているでしょうか。
山科区で多い、こんなケース
山科区の住宅街で、よくあるご相談があります。
築40年以上の戸建て。
延床面積は40坪を超え、部屋数も十分。
けれど、実際に日常的に使っているのは、1階の数部屋だけ。
「2階は、もう何年も使ってません」
「でも、大きい家やから、売るなら高く売れると思ってて」
そう話される方は少なくありません。
ですが、現実には
・広い=必ずしも買い手が多い
・部屋数が多い=評価が高い
とは限らない時代になっています。
今の買い手は、
「自分たちの暮らしに合うか」
をとても重視します。
資産価値は「大きさ」だけで決まらない
不動産の価値は、
- 立地
- 状態
- 需要
- 管理のしやすさ
など、さまざまな要素で決まります。
その中で、「広さ」は確かにひとつの要素ですが、絶対的な正解ではありません。
むしろ、これから先を考えると、
・管理しきれない広さ
・使われていない部屋が多い家
は、次の世代にとっても負担になることがあります。
「大きいから価値がある」
という考え方が、
「大きいから手放しにくい」
「大きいから、どうすればいいか分からない」
という迷いに変わってしまうこともあるのです。
「売る」以外の選択肢が見えなくなる瞬間
家が広すぎると感じ始めたとき、
多くの方が真っ先に思い浮かべるのが「売却」です。
もちろん、それも大切な選択肢のひとつです。
ただ、
「広い=売るしかない」
と短絡的に結論を出してしまうと、本来考えられたはずの別の道が見えなくなってしまいます。
- 今の家で、暮らしを小さく整える
- 使っていない部分との付き合い方を変える
- 数年後を見据えて、段階的に考える
こうした選択肢は、“大きな家=良い資産”という思い込みがあると、なかなか浮かびません。
家は「資産」である前に「道具」
ここで、少し視点を変えてみてください。
家は、
・生活するための道具
・毎日を支える器
でもあります。
道具は、使う人に合っていてこそ意味があります。
若い頃には問題なかった階段も、年齢とともに負担になることがあります。
広さに余裕があったはずの家が、いつの間にか「管理するもの」に変わってしまうこともあります。
それは、家が悪いのではありません。
人生のステージが変わっただけなのです。
「今の自分たちに合っているか」という判断軸
これからの住まいを考えるとき、
ぜひ持ってほしい視点があります。
それは、
「この家は、今の自分たちに合っているだろうか」
という問いです。
- 広さは無理なく使えているか
- 管理や掃除は、負担になっていないか
- この先も、安心して暮らせそうか
これらを考えることは、家を否定することではありません。
むしろ、これまでの暮らしを大切にしながら、これからの時間をどう過ごすかを考える、前向きな作業です。
大きさにとらわれすぎないという選択
大きな家には、大きな家なりの良さがあります。
同時に、小さく整えた暮らしには、別の豊かさがあります。
どちらが正しい、という話ではありません。
大切なのは、
「大きいから価値がある」
「小さくしたら損」
と決めつけず、今の自分たちに合った形を考えることです。
住まいの価値は、数字だけでは測れません。
日々の暮らしの中で、
「無理がない」
「気持ちが落ち着く」
そう感じられることも、大切な価値のひとつです。
次回予告
次の記事では、
「リフォーム前提の話ばかりする会社に、少し注意してほしい理由」
について、考え方の順番という視点からお話しします。


