「高く売れると言われたから」売却を急いでしまう― 実は一番多い後悔 ―

「今が一番高く売れますよ」
不動産の相談をしたとき、この言葉を一度も聞かずに終わる方は、ほとんどいません。

特に、子育てを終えた50代後半から60代のご夫婦にとっては、この一言が、長年先送りにしてきた「住まいのこと」を動かすきっかけになります。

  • 子どもは独立した
  • 家が広すぎると感じ始めている
  • 体力や将来のことも、少し気になる

そんな心境の中で、「高く売れるなら、今のうちに」そう思ってしまうのは、無理もありません。

ですが――
実はこの判断こそが、一番後悔につながりやすいポイントなのです。

まず誤解しないでいただきたいのは、売却すること自体が悪いわけではない、ということです。

実際に、

  • 資産を整理できた
  • 身軽になった
  • 新しい暮らしを楽しんでいる

そんな方も、たくさんいらっしゃいます。

問題になるのは、「なぜ売るのか」を整理しないまま、売ってしまうことです。

例えば、京都市伏見区で実際によくあるケースです。

60代のご夫婦。<br>長年住み続けた一戸建てを、「今が一番条件がいいですよ」という言葉に背中を押され、売却されました。

売却価格は、決して悪くありませんでした。<br>周囲からも「いい時に売ったね」と言われたそうです。

ところが、住み替え先のマンションで暮らし始めて、少しずつ、こんな違和感が積み重なっていきました。

  • ベランダに出ても、外との距離を感じる
  • 土に触れる機会がなくなった
  • 音や気配に、妙に気を遣う

「便利だけど、落ち着かない」<br>「間違ってはいないけど、楽しくもない」

売却は成功だったはずなのに、暮らしの満足度は、下がってしまったのです。

このケースで一番の問題は、
「いくらで売れるか」から考えてしまったことでした。

本来、最初に考えるべきなのは、

  • 売ったあと、どんな一日を過ごしたいか
  • これからの暮らしで、何を大切にしたいか
  • 逆に、何を手放したいか

この順番です。

売却は、ゴールではありません。
『あくまで、暮らしを整えるための“手段”』です。

不動産の世界では「高く売れたかどうか」が、どうしても評価軸になります。

ですが、暮らしの満足度は、数字では測れません。

  • 少し不便でも、落ち着く
  • 狭くなったけれど、管理が楽
  • 完璧じゃないけれど、気に入っている

こうした感覚は、売却価格とは、ほとんど関係がないのです。

私たちがご相談を受ける中で、「今は売らない方がいいですね」とお伝えするケースも、実は少なくありません。

理由は単純です。

売らなくても、

  • 暮らしを楽にする方法がある
  • 家との付き合い方を変えられる
  • 負担を減らす選択肢が残っている

からです。

家を全部手放さなくても、家との関係を“軽くする”ことはできます。

「今が一番高い」と言われると、急がないと損をするような気持ちになります。

ですが、不動産は、急いで決めたからといって、必ずしも良い結果になるものではありません。

むしろ、

  • 一度立ち止まる
  • 売らない場合も含めて考える
  • 暮らしのイメージを先に描く

この時間を取った方が、後悔の少ない判断につながります。

私たちは、
「高く売ること」をゴールにはしていません。

それよりも、売ったあと、どんな表情で暮らしているかを大切にしています。

  • 今は売らない
  • 少し整えてから考える
  • 将来のために情報だけ集める

どれも、立派な選択です。

「まだ決めなくていいですよ」
そう言える不動産会社でありたい。

それが、私たちのスタンスです。

もし今、
「売った方がいいのかもしれない」
そう思っておられるなら、その前に一度、
“売ったあとの暮らし”を想像する時間を持ってみてください。

答えは、急がなくても逃げません。