「売る・直す」しかないと思い込んでしまう

― 伏見区でよくあるご相談から ―

※この記事は、京都市伏見区・山科区周辺で実際によくあるご相談をもとに、内容を再構成したものです。

「売るか、思い切って直すかしかないですよね」

住まいの相談の場で、この言葉が出てきたとき、私たちは少し慎重になります。

なぜならそれは、すでに選択肢が二つに絞られてしまっている状態だからです。

伏見区にお住まいの60代ご夫婦。
築40年以上の一戸建てで、お子さんはすでに独立されています。

ご相談のきっかけは、「この家、これからどうしたらええんやろ」という、はっきりしない不安でした。

  • 2階はほとんど使っていない
  • 冬は寒く、夏は暑い
  • 掃除や管理が、正直しんどい

それでも、
「住めないわけではない」
「今すぐ困っているわけではない」

だからこそ、決断ができないまま、時間だけが過ぎていました。

お話を聞いていくと、ご夫婦の中では、すでに二つの案しか残っていませんでした。

ひとつは、売却。
長年住んだ家を手放し、どこか別の場所へ移る。

もうひとつは、大規模なリフォーム。
寒さや古さを一気に解消する。

どちらも間違いではありません。
けれど、どちらを考えても、ご夫婦の表情は重たいままでした。

理由は、とてもシンプルでした。

  • 売る → 思い出まで手放す気がする
  • 直す → 費用と工事の負担が大きすぎる

どちらも、前向きな想像ができなかったのです。

ここで多くの方が、「自分たちは決断力がない」と思ってしまいます。

でも実際は、選択肢が少なすぎただけ、というケースがほとんどです。

そこで、私たちが一緒に整理したのは、こんな問いでした。

「この家で、これからも続けたいことは何ですか」
「逆に、もう手放したい負担は何でしょうか」

答えは、意外と明確でした。

  • 庭のある暮らしは続けたい
  • 1階だけで生活できれば十分
  • 2階は、もう使っていない

ここから見えてきたのが、「全部を変えなくていい」という考え方です。

具体的には、こんな選択肢です。

  • 生活の中心を1階に集約する
  • 使っていない2階は減らす、もしくは閉じる
  • 必要な部分だけを整える

売らない。
でも、無理もしない。

家を「どう処分するか」ではなく、「どう付き合い直すか」を考えた結果でした。

多くの方が、「売る」「直す」という二択に陥ってしまうのは、不動産や建築の相談が、どうしても結論ありきで進みやすいからです。

  • 売却の話になれば、売る前提
  • リフォームの話になれば、工事前提

その間にある、
「少しだけ変える」
「今は動かない」
という判断は、置き去りにされがちです。

このご夫婦は、最終的に「大きな決断」はされませんでした。

でも、

  • 暮らしは楽になり
  • 家への負担感は減り
  • 気持ちは前より軽くなった

それが、何よりの結果だったと思います。

私たちは、「売るかどうか」を決める会社ではありません。

選択肢を増やし、考え方を整理する会社でありたいと考えています。

  • 売らない判断
  • 全部直さない判断
  • 少しだけ整える判断

どれも、立派な選択です。

  1. 高く売れると言われて急ぐ判断
  2. 正しそうな説明を鵜呑みにする判断
  3. 広さに縛られる判断
  4. 年齢であきらめる判断
  5. 二択しかないと思い込む判断

これらに共通するのは、「急がされること」「選択肢を狭められること」です。

不動産の判断は、早く決めた人が正解になる世界ではありません。

むしろ、立ち止まり、考え直し、自分たちの言葉で納得できた人が、後悔しません。

売る・売らない。
直す・直さない。

その前に、考え方を知ること。

それが、このシリーズで一番お伝えしたかったことです。