空き家は、突然“問題”になるわけじゃない

― 相続した実家を、そのままにしているあなたへ ―

「空き家の問題って、ニュースで見るような話でしょう?」
そう思っておられる方は、実はとても多いです。

でも、私たちが伏見区や山科区で日々ご相談を受けていると、空き家はある日突然“問題”になるものではない、ということを強く感じます。

むしろ多くの場合、とても静かに、気づかないうちに始まっています。

親御さんが亡くなられた直後は、気持ちの整理がつかないまま、やることだけが次々に押し寄せます。

葬儀、役所の手続き、相続の話し合い。
家のことまで、すぐに考える余裕はありません。

「とりあえず、そのまま置いておこう」
「今は忙しいし、落ち着いてから考えよう」

そうして、誰も住まなくなった実家は、“一時的に空き家”になります。

この段階では、ほとんどの方が「問題だ」とは感じていません。

しばらくして、固定資産税の通知が届きます。
拍子抜けする方も少なくありません。

「思ったより安いな」
「これなら、しばらく置いておいても大丈夫そうだ」

実際、住んでいた頃より大きな出費が増えるわけでもありません。

だからこそ、“決めないままの時間”が、どんどん伸びていきます。

お金では測れない負担が、気づかないうちに積み重なっていきます。

  • 草が伸びてきた
  • 雨樋が外れかけている
  • ポストにチラシが溜まる
  • 近所の目が、なんとなく気になる

「今度、時間があるときに行こう」
そう思いながら、なかなか足が向かない。

この状態が続くと、空き家は“何も起きていないはずなのに”、心のどこかに引っかかる存在になっていきます。

空き家がつらくなる理由は、建物が古くなることだけではありません。

一番多いのは、「家族の中で、温度差が生まれること」です。

  • 売った方がいいと思っている人
  • 残したい気持ちが強い人
  • 考えること自体を避けたい人

それぞれの立場や想いが違うからこそ、話し合いは後回しにされがちです。

でも、決めないまま時間が経つほど、゛誰が、どこまで負担するのか”が曖昧になり、それが小さな不満として溜まっていきます。

多くの方が、こんなふうにおっしゃいます。

「大きなトラブルがあったわけじゃないんです」
「ただ、気づいたらしんどくなっていて…」

空き家は、突然“爆発”するように問題化するのではありません。

静かに、でも確実に、心の負担として重くなる。

だからこそ、
「もう少し早く動けばよかった」
そう振り返る方が、とても多いのです。

ここまで読んで、
「じゃあ、売らないといけないのか」
そう感じた方もおられるかもしれません。

でも、私たちはそうは考えていません。

売るかどうかは、もっと後で決めても大丈夫です。

大切なのは、

  • この家をどうするか
  • 誰のために残そうとしているのか
  • 自分は、これからどう暮らしたいのか

それを、一度言葉にしてみることです。

親のため。
子どものため。
それとも、自分自身の安心のため。

答えは、人それぞれでいいと思います。

空き家の相談は、不動産の話である前に、人生の話だと、私たちは考えています。

まだ「売る・売らない」が決まっていなくても構いません。
むしろ、決まっていない今だからこそ、一度、立ち止まって話してみませんか。


次回の記事では、

「固定資産税が安いから放置、が一番つらい理由」

について、もう少し踏み込んでお話しします。

空き家のこと、一人で抱えなくて大丈夫です。