空き家がきっかけで、兄弟が喧嘩する理由

― 家の問題は、いつの間にか“家族の問題”になります ―

「家族仲は、悪くなかったんです」
空き家のご相談で、何度も聞いてきた言葉です。

相続した実家。
誰も住んでいない家。
それまでは、特に大きな問題はなかった。

それなのに――
なぜか、兄弟の会話が噛み合わなくなっていく。

今日は、その理由を正直にお話しします。

「この家、そろそろどうする?」

最初は、ただの確認だったはずです。
責めるつもりも、急かすつもりもない。

でも、その一言に対する返事で、少しずつ空気が変わります。

「今は忙しいし、まだいいんちゃう?」
「売るとか、まだ考えたくない」

この時点で、兄弟それぞれの立場の違いが、はっきりしてきます。

空き家を巡る喧嘩の原因は、建物の老朽化でも、お金でもありません。

一番多いのは、これです。

「誰が、どこまでやっているのか」

  • 草刈りをしている人
  • 様子を見に行っている人
  • 近所から連絡を受けている人

そして一方で、

  • 遠方に住んでいる
  • 忙しい
  • 「任せているつもり」になっている人

固定資産税は、割り勘かもしれません。
でも、手間と気持ちの負担は、同じではない。

このズレが、じわじわと不満を生みます。

ここで大事なことがあります。

兄弟のどちらかが、「無責任」なわけでも「冷たい」わけでもない、ということです。

  • 思い出が強すぎて、手放す話ができない
  • 自分が決めてしまうのが怖い
  • 親に申し訳ない気がする

それぞれが、それぞれの事情と感情を抱えている。

でも、それを言葉にしないまま時間が過ぎると、感情だけが、勝手に積み上がっていきます。

実際にあった話です。

固定資産税も安く、大きなトラブルもなかったので、数年間、空き家をそのままにしていたご兄弟。

管理の多くを一人が担い、もう一人は「ありがとう」と言いながらも、具体的な話には踏み込まなかった。

そしてある日、感情が一気に噴き出しました。

「なんで、全部私ばっかりなん?」

それまで抑えていた不満が、空き家をきっかけに表に出たのです。

後から、その方はこう言われました。

「家のことで、兄弟とこんな関係になるなんて思ってなかった」
「もっと早く、誰かに相談していれば…」

空き家は、人の感情を増幅させます。

  • 迷い
  • 不安
  • 後悔
  • 罪悪感

それらを、静かに、でも確実に浮き彫りにする存在です。

だからこそ、家族だけで抱え込むほど、こじれやすい。

第三者が入ることで、初めて言葉にできることも、たくさんあります。

ここで、はっきりお伝えしたいことがあります。

兄弟で喧嘩になる前に、売却を決める必要はありません。

必要なのは、

  • 状況を整理すること
  • 選択肢を知ること
  • 感情を言葉にすること

そのための場として、私たちは
「空き家について話すだけの相談」
を大切にしています。

結論を出す場所ではありません。
誰かを説得する場でもありません。

ただ、こじれる前に、立ち止まる場所です。

親の思い出のため。
子どもの将来のため。
それとも、兄弟関係を守るため。

空き家を残す理由は、人それぞれです。
でも、黙ったままでは、伝わりません。

家は、家族をつなぐこともあれば、離してしまうこともあります。

だからこそ、問題が小さいうちに、話してほしいのです。

兄弟で意見が合わない。
何から話せばいいかわからない。

そんな状態でも大丈夫です。
空き家について、話すだけの相談を承っています。

売るかどうかは、まだ決めなくて構いません。


次回は、
「売却しかないと思っていた空き家に、別の道が見えた話」
をお届けします。

空き家は、厄介者で終わらせなくてもいい。

その可能性について、具体的にお話しします。